日本神経感染症学会
学会概要 入会案内 総会案内 学会誌 お知らせ ガイドライン 会員向けページ

ガイドライン

V.解説およびまとめ

小児の単純ヘルペス脳炎は,主に初感染として発症する.したがって,成人の本症に比べて,発症が急激であり,しばしば小児期の他の急性脳炎・脳症との鑑別が困難である.歯肉口内炎など特有の症状を欠く点も早期診断を困難にしている.また,初感染であるために,抗体の上昇が遅く,また髄液中のHSV抗体産生も著明ではない症例もある.とくに,血清抗体の上昇や,髄液中の抗体価・髄液/血清比の算出には慎重を要する.診断は病初期の髄液中のHSV-DNAの検出が現時点では最も確実な検査法である.治療については,小児期では,ウイルスの増殖が活発であると考えられ,できるだけ早期に抗ヘルペス剤(アシクロビルが第一選択剤)を充分量を用い,ウイルスの増殖を抑えることが予後の改善につながる.成人では稀な再発が,しばしば認められるのも小児期単純ヘルペス脳炎の特徴である.治療終了後も慎重に再発の有無をフォローしなくてはならない.また,けいれんのコントロールも大切である.致命率は改善しつつあるが,後遺症の程度を少しでも軽くするため,今回のガイドラインに加え,早期のリハビリテーションの開始も大事なポイントである.今回,小児中枢神経感染症・小児神経学の専門家の努力で,本症の小児のガイドラインの一応の完成をみたが,今後さらに医療・医学の進歩に応じて,改訂していく必要性があろう.

単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン─成人─
症状・徴候
診断基準
治療方針
鑑別診断
解説
まとめ
単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン─小児─
症状・徴候
診断基準
治療方針
鑑別診断
解説
お問い合せ バナー広告掲載について